酵素処理レシチン
英名: Enzymatically modified lecithin CAS No. 該当なし
JECFA No. 該当なし別名: 該当なし 構造式: -
「植物レシチン」又は「卵黄レシチン」から得られた、ホスファチジルグリセロールを主成分とするものをいう。
乳化剤
急性毒性試験
ラット経口 | LD50 | > 4,000 mg /kg 1) |
マウス経口 | LD50 | > 5,000 mg /kg 1) |
反復投与毒性試験
酵素分解レシチン(大豆)1を用いた Wistar ラットの強制経口(0.5、1、2 g/kg)投与による 3 ヶ月間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められていない。無毒性量は 2 g/kg/day と考えられる 1)。
酵素分解レシチン(大豆)を用いた SD ラットの混餌(0.2、1.0、5.0%)投与による 28 日間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められて
いない。無毒性量は 481 mg/kg/day と考えられる 1) 。
酵素分解レシチン(大豆)を用いた Wistar ラットの混餌(5、10、20、30、40%)投与による 3 週間の反復投与試験及び混餌(1、2.6、5、10、20%)投与による 13 週間の反復投与試験において、比較対照としたレシチン(大豆)との間に毒性学的な差異は認められていない 1) 。
酵素分解レシチン(卵黄)の Wistar ラットを用いた混餌(5、10、15、20%)投与による 4 週間の反復投与試験において、比較対照としたレシチン(卵黄)との間
に毒性学的な差異は認められていない 1) 。
1 酵素分解レシチンは、アブラナ若しくはダイズの種子から得られた植物レシチン又は卵黄から得られた卵黄レシチンから得られた、ホスファチジン酸及びリゾレシチンを主成分とするものである。酵素分解植物レシチンと酵素分解卵黄レシチンがある。
変異原性試験
細菌を用いた復帰変異試験、細菌を用いた DNA 修復試験の結果は、いずれも陰性
1)。
細菌(TA1535、TA1537、TA98、TA100、WP2uvrA)を用いた復帰変異試験は陰性。培養細胞を用いた染色体異常試験及び枯草菌を用いたRec assay は陰性 3)。
その他
その他試験に関する情報なし
海外評価書における扱い
FDA では、酵素処理レシチンはレシチン(CAS No.: 8002-43-5)をホスホリパーゼ A2(EC 3.1.1.4)またはパンクレアチンで処理することで生成され、酵素処理レシチンは現行の GMP に従って食品に用いる場合は generally recognized as safe
(GRAS)としている 2)。
JECFA では評価されていない。
規格検討中
酵素処理レシチンは、その基原、製法及び本質と、入手可能な安全性試験の情報(急性毒性試験、反復投与毒性試験並びに変異原性試験)、米国では GRAS として登録されている状況に鑑みて、人の健康影響に対する懸念はないものと結論された。
平成8年 既存添加物の安全性評価に関する調査研究;厚生労働省行政情報 https://www.ffcr.or.jp/houdou/2001/05/26F66A0374A57FEC49256A4C001F8C82.h tml
Food and Drug Administration (FDA). Substances added directly to human food affirmed as generally recognized as safe. Enzyme-modified lecithin. 21CFR 184.1063. 2013.
厚生省平成5年度食品添加物安全性再評価等の試験検査、第一次報告書、(財)残留農薬研究所