英名： Yeast Cell Wall

CAS No. 8013-01-2（酵母抽出物） JECFA No. 該当なし

別名： 該当なし

構造式： －

1. 基原・製法

   サッカロミセス属酵母（Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces bayanus 又は Saccharomyces pastorianus に限る）の細胞壁から得られた、多糖類を主成分とするものである。

   
   

2. 主な用途

   増粘安定剤、製造用剤

   
   

3. 安全性試験の概要

   1. 急性毒性試験

      マウス 経口 LD50 > 2,000 mg/kg 体重 1)

      ラット 経口 LD50 > 8,000 mg/kg 体重 1)

      
      

   2. 反復投与毒性試験

      Wistar ラット（雌雄各群 5 匹）に酵母抽出物（一般的に酵母細胞壁を 8%〜12%含有）を 2,000 mg/kg 体重/日、10 日間強制経口投与したところ，被験物質に起因する毒性影響はみられなかった 1)。

      Wistar ラット（雌雄各群 5 匹）に酵母抽出物（一般的に酵母細胞壁を 8%〜12%含有）を 50、175、650 mg/kg 体重/日、27 日間強制経口投与したところ，被験物質に起因する毒性影響はみられなかった 1)。

      
      

   3. 変異原性試験

      Ames 試験、染色体異常試験及び in vivo 小核試験が実施されており、すべて陰性と報告されている 2)。

      
      

      Ames 試験：陰性；5,000 g/plate

      染色体異常試験：陰性；5,000 g/mL

      小核試験：陰性；2,000 mg/kg 体重

      
      

   4. その他

      毒性が懸念される報告はない。

      
      

   5. 海外評価書における扱い

      FSANZ では、安全上の懸念はないとして、ワインの安定性処理のための食品添加物として酵母細胞壁の使用を最高許容濃度 400 mg/L まで認めるとしている 3)。

      FDA では、パン酵母細胞壁のワイン安定のための使用を generally recognized as safe (GRAS)としている 1)。

      
      

4. 結論

   本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。

   
   

5. 参考資料

   1. FDA: GRAS Notice GRN 284, GRAS Notification for Mannoprotein derived from an extract of bakers yeast (Saccharomyces cerevisiae ) , March 6 (2009)

      
      

   2. 林ら：食品衛生学雑誌 46, 177-184 (2005)

      
      

   3. Food Standard Australia New Zealand (FSANZ): FINAL ASSESSMENT REPORT, APPLICATION A605, YEAST MANNOPROTEINS AS A FOOD ADDITIVE FOR WINE, March 19 (2008)