納豆菌ガム
1.食品添加物名
納豆菌ガム(納豆菌の培養液から得られた、ポリグルタミン酸を主成分とするものをいう。)
2.基原、製法、本質
納豆菌(
Bacllus subtilis
)の培養液より、分離して得られたものである。主成分はポリグルタミン酸である。
3.主な用途
増粘安定剤、製造用剤
4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
F334/DuCrj系ラットを用いた混餌(0.18、0.55、1.66、5 %)
投与による 90 日間反復投与試験において、被験物質に起因すると思われる重篤な変化は認められず、最高用量の5%でも病理組織学的な毒性学的変化はみられなかったため、無毒性量は 5 %(雄で 2616.4mg/kg/day、雌では 2727.6 mg/kg/day)と考えられる。
1)
(2)遺伝毒性試験
細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、TA1538)
を用いた復帰突然変異試験は 20mg/plateまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず、陰性と判断される2)。
哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いた染色体異常試験では、短時間処理、代謝活性化系の存在下において限界用量の2.5mg/ml処理により6%の細胞に異常が観察されたが、他の処理条件では全く染色体異常を誘発しなかった。3)
マウス(ddy、雄、各用量 6 匹)を用いた骨髄小核試験は最高用量(3000mg/kg x 2)
まで試験されており、いすれの用量においても小核誘発性は認められない。4)
従って、ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験での陽性結果は、非常に高用量でのみの反応であること、異常の出現頻度が高くないこと、十分高用量まで検討された小核試験において陰性であったことを考え合わせると、生体に対する危惧すべき毒性影響はないものと考えられる。
(引用文献)
1. 広瀬雅雄:平成8
年度食品添加物安全性再評価試験、国立医薬品食品衛生研究所病理部
2. 宮部正樹:平成8
年度食品添加物安全性再評価等の試験検査、名古屋市衛生研究所
3. 祖父尼俊雄:平成8
年度食品添加物安全性再評価等の試験検査、国立衛生研究所変異遺伝部
4. 蜂谷紀之:平成8
年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、秋田大学医学部