粉末モミガラ
英名: Powdered rice hulls
CAS No. 該当なし
JECFA No. 該当なし
別名: -
化学式: -
分子量: -
構造式: -
1.基原・製法
イネ科イネ(Oryza sativa LINNE)のもみ殻を微粉砕して得られたものである。主成分はセルロースである。
2.主な用途
ガムベース
3.安全性試験の概要
経口投与の情報なし
6 週齢の雌雄 Crl:CD(SD)ラットに粉末モミガラを 0、12,500、25,000、50,000 ppm の濃度で 90 日間混餌投与し、一般状態観察、体重測定、摂餌量測定、尿検査、血液学的検査、血清生化学的検査、臓器重量測定、肉眼病理学的検査及び病理組織学的検査が実施された。
その結果、いずれの検査項目においても被験物質投与による毒性影響は認められなかった。以上の結果から、本試験における粉末モミガラの無毒性量は雌雄ともに最高用量である 50,000 ppm(雄:2.32 g/kg 体重/日、雌:3.30 g/kg 体重/日)と判断された 1)。
粉末モミガラについて、ネズミチフス菌(TA100、TA1535、TA98、TA1537)、及び大腸菌(WP2uvrA)を用い、プレインキュベーション法により、非代謝活性化及び代謝活性化条件下で復帰突然変異試験が行われている。50.0、150、500、1,500及び 5,000 µg/plate の 5 用量を設定して用量設定試験が実施された。
その結果、生育阻害は、非代謝活性化及び代謝活性化条件下のいずれの検定菌においても認められなかった。被験物質に由来する沈殿は、非代謝活性化及び代謝活性化条件下ともに認められた。陰性対照値の 2 倍以上となる変異コロニー数の増加
は、非代謝活性化及び代謝活性化条件下のいずれの検定菌においても認められなかった。
以上の結果に基づき、粉末モミガラは、用いた試験系において遺伝子突然変異誘発性を有しない(陰性)と判定された 2)。
粉末モミガラの染色体異常誘発性の有無について、チャイニーズ・ハムスター細 胞(CHL/IU)を用いて、短時間処理法の非代謝活性化、及び代謝活性化の両条件を設けて試験が実施された。また、連続処理法においては、22 時間連続処理を設けた。高圧蒸気滅菌済みの粉末モミガラ 0.11016 g(濃度設定試験)及び 0.18231 g(本試験)に、日局注射用水を加えて懸濁させた後、5.508 mL(濃度設定試験)及び
9.116 mL(本試験)に定容して最高濃度(20 mg/mL)の被験物質調製液を調製した。濃度設定試験では、全ての処理条件で 0.016、0.031、0.063、0.13、0.25、0.50、
及び 2.0 mg/mL の被験物質処理群を設定した。その結果、連続処理法において
50%を超える細胞増殖抑制が認められた。その他の処理条件については 50%を超え る細胞増殖抑制は認められなかった。また、被験物質の沈殿(処理終了時)は、全 ての被験物質処理群において認められた。本試験では、短時間処理法では、0.016、 0.031、0.063、0.13、0.25、0.50、1.0 及び 2.0 mg/mL の被験物質処理群を設定した。また、連続処理法では、0.016、0.031、0.063、0.13、0.25、0.50、1.0、1.5 及び2.0 mg/mL の被験物質処理群を設定した。その結果、連続処理法において 50%を超える細胞増殖抑制が認められた。その他の処理条件については 50%を超える細胞増殖抑制は認められなかった。また、被験物質の沈殿(処理終了時)は、全ての被験物質処理群において認められた。以上の結果に基づき、短時間処理法では 0.50、1.0 及び
mg/mL、連続処理では 1.0、1.5 及び 2.0 mg/mL を設定し、染色体分析を行った。染色体分析の結果、短時間処理の非代謝活性化及び代謝活性化条件下については、
構造異常を有する細胞数及び倍数性細胞数の統計学的に有意な増加は認められな かった。連続処理については、1.5 及び 2.0 mg/mL 処理群において、構造異常を有する細胞数の増加が 5%水準で認められた。また、傾向性検定において、5%水準で有意な用量依存性が認められたが、1%水準では有意な用量依存性は認められなかった。ただし、陰性対照群の構造異常を有する細胞数は 0 であった。倍数性細胞数の統計学的に有意な増加は認められなかった。以上のことから、連続処理の陰性対照群及び被験物質処理群(1.0、1.5 及び 2.0 mg/mL)について、構造異常の種類と数の追加観察(300 細胞/群)を行った。その結果、いずれの被験物質処理群についても統計学的に有意な増加は認められなかった。なお、各処理条件の陰性対照群における 構造異常を有する細胞数及び倍数性細胞数は、背景値の 95%管理限界内であった。
以上の結果より、粉末モミガラは当該試験条件下で、CHL/IU 細胞に対する染色体異常誘発作用は無い(陰性)と結論された 2)。
細菌を用いた復帰突然変異試験、並びに染色体異常試験の結果、粉末モミガラには遺伝毒性はないと考えられた。
遺伝毒性試験のまとめ Ames 試験 陰性染色体異常試験 陰性総合判定 陰性
その他試験に関する情報はない
4.検討結果
現状の使用において、人の健康影響に対する懸念はないものと結論された。
5.参考資料
石井雄二、高須伸二、木島綾希、小川久美子:令和元年度 既存添加物の安全性に関する試験「ラットを用いた粉末モミガラの90日間反復経口投与毒性試験」(最終報告書)、2020年
本間正充:平成30年度 指定添加物等の安全性に関する試験報告書、2019年3月25日