ラクトフェリン濃縮物

英名: Lactoferrin Concentrates CAS No. 146897-68-9 (Lactoferrin)

JECFA No. 該当なし別名: 該当なし

構造式: -


  1. 基原・製法

    ほ乳類の乳から得られたラクトフェリンを主成分とするものである。


  2. 主な用途

    製造用剤


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      bovine lactoferrin として、ラットを用いた急性毒性試験が実施されているが、死亡例はなく、被験物質に起因する毒性影響もみられなかった 1)


      ラット(系統不明) 経口 LD50 > 2,000 mg/kg 体重


    2. 反復投与毒性試験

      Sprague–Dawley ラット(雌雄各群 12 匹)を用いた bovine lactoferrin(純度 95.0%)の 0200600 および 2,000 mg/kg の投与量で強制経口による 13 週間反復投与毒性試験を実施したところ、被験物質に起因する毒性影響はみられず、雌雄ともに NOAEL は最高用量の 2,000 mg/kg 体重/日と考えられた 2)

      F344/Crj ラット(高用量及び対照群雌雄 25 匹、他群雌雄各群 10 匹)を用いた bovine lactoferrin 00.020.22.05.0%の用量による 60 週間(雄)あるいは 65 週間(雌)の混餌投与試験が実施されている。著者らは明らかな変化はなかったとしているが詳細なデータが供与されていないため、FDA NOAEL は設定できなかったとしている。


    3. 変異原性試験

      Ames 試験、染色体異常試験及び in vivo 小核試験が実施されており、すべて陰性と報告されている 3)


      Ames 試験:陰性;5,000 g/plate

      染色体異常試験:陰性;5,000 g/mL

      小核試験:陰性;2,000 mg/kg 体重


    4. その他

      毒性が懸念される報告はない。


    5. 海外評価書における扱い

      EFSA では、2012 年に Safe under the proposed use and use levels としている 4)

      GRAS Notice (GRN) No. 669 において評価され、2016 9 月にFDA よりNo Questions

      との回答を受けている。

      JECFA では評価されていない。


  4. 結論

    本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。


  5. 参考資料

    1. Nishimura N, 1991. Single dose oral toxicity study of monl-01 and monl-02 in rats (Study Number B1969). Gotemba Laboratory, Bozo Research Center Inc., Setagaya- ku, Tokyo, Japan. Unpublished.

    2. Yamauchi K, Toida T, Nishimura S, Nagano E, Kusuoka O, Teraguchi S, Hayasawa H, Shimamura S and Tomita M, 2000. 13-Week oral repeated administration toxicity study of bovine lactoferrin in rats. Food Chem Toxicol, 38, 503-512.

    3. 林、田中:食品衛生学雑誌 46, 5, 177-184 (2005)


    4. European Food Safety Authority. Scientific Opinion on bovine lactoferrin. EFSA Journal 2012; 10(7): 2811. [14 pp.]