ムラミダーゼ
英名: Muramidase CAS No. 9001-63-2
JECFA No. 該当なし別名: Lysozyme
構造式: -
基原・製法
放線菌(Actinomyces属及びStreptomyces属に限る)、細菌(Bacillus属に限る)の培養物から得られた、ムコ多糖類を加水分解する酵素である。食品(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存又は力価調整の目的に限る)又は添加物(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、pH調整又は力価調整の目的に限る)を含むことがある。
主な用途
酵素
安全性試験の概要
リゾチームとして報告がある。
マウス 経口 LD50 > 4,000 mg/kg 体重 1)
ラット 経口 LD50 > 4,000 mg/kg 体重 1)
リゾチームとして報告がある。
ニュージーランドウサギ(雄、2 群、各群 10 匹)にリゾチーム塩酸塩(500 mg/kg 体重/日)又は卵白(200 mg/kg 体重/日)を 4 週間(5 回/週)経静脈投与したところ、リゾチーム塩酸塩に起因する毒性影響はみられなかった 1)。
変異原性に関する情報なし
満期産児 15 名及び未熟児 18 名に、母乳のリゾチーム(2 mg/ml)の代用として卵白由来のリゾチーム(10 mg/100 ml)を調整乳に混じて第 1 週から 8 週まで投与し、免疫グロブリンの生成が検討された。調整乳を与えた満期産児 13 名及び未熟児 13 名、母乳を
与えた新生児 20 名が対照群とされた。新生児の調整乳摂取を 600-900 ml/日とするとリ
ゾチームの摂取量は 60-90 mg/日に相当する。新生児の健康状態に異常は見られず、リゾチーム群と対照群の間に血清免疫グロブリン産生について違いは見られなかった。満期産児のリゾチーム群及び母乳対照群では分泌型 IgA が便中に見られたが、他の群(満期産児のリゾチームなし調整乳群、未熟児のリゾチームなし調整乳群及び未熟児のリゾチームあり調整乳群)では痕跡程度であった。リゾチーム投与は部分的に母乳からの分泌型 IgA の受動伝達の代わりとなった。リゾチーム投与児の血清中に、抗体は見られなかった。
JECFA 3)では、アレルギー反応に関しては、卵白から生成されるリゾチームは動物及びヒトおいて、卵白アルブミン、アルブミンなどの他のタンパクに比べて弱いとされた。検討可能なデータから、チーズから少量の追加摂取は消費者健康を害する懸念がないと結論付けられた。リゾチームは一般的に食品として使われる食用動物組織から得られ、 class I 酵素として指定でき、食品としてみなされる。従って、製造管理および品質管理に関する基準に従い使用された場合、食品加工での使用が許容できると考えられた。
結論
本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。
参考資料
Bianchi, C. (1982) Antigenic properties of hen egg white lysozyme (Fleming's lysozyme) and notes on its acute/sub-acute toxicity. Curr. Therap. Res., 31: 494-505.
Lodinová, R. & Jouja. V. (1977) Influence of oral lysozyme administration on serum immunoglobulin and intestinal secretory IgA levels in infants. Acta. Pediatr. Scand, 66: 709-712.
JECFA: 39th report of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Assitive (1992) WHO Food Additives Series 30, WHO Technical Report Series 828 http://www.inchem.org/documents/jecfa/jecmono/v30je04.htm https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/40033/WHO_TRS_828.pdf;jsessio
nid=60E83A381A9E12205DD6B06F56BCFB8A?sequence=1