ポリフェノールオキシダーゼ

英名: Polyphenol Oxidase CAS No. 9002-10-2

JECFA No. 該当なし別名: Phenolase

構造式: -


  1. 基原・製法

    担子菌(Cyathus属、Polyporus cinereus, Pycnoporus coccineus, Polyporus versicolor及びTrametes属に限る)、糸状菌(Alternaria, Aspergillus niger, Coriolus属及び Myrothecium verrucariaに限る)又は放線菌(Streptomyces avermitilisに限る)の培養 物から得られた、ポリフェノールの水酸基を酸化する酵素である。食品(賦形、粉末 化、希釈、安定化、保存又は力価調整の目的に限る)又は添加物(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、pH調整又は力価調整の目的に限る)を含むことがある。


  2. 主な用途

    酵素


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      Myceliophthora Thermophila からの遺伝子を導入した Aspergillus oryzae で発現させたラッカーゼ(バッチPPX 5720)が検討されている 1)

      ラット 経口 LD(C)50 >12 ml/kg 体重(39025LAMU 又は 2.07 g TOS/kg 体重相当)


    2. 反復投与毒性試験

      CD ラット(雌雄各群 10 匹、30-37 日齢)にラッカーゼ(バッチ PPX 5720)を 00.1、 1または 10 mg/kg 体重/日(03253,252 または 32,521 LAMU/kg 体重/日あるいは 00.0170.17 または 1.7 g/kg 体重/TOS 相当)の用量で 13 週間強制経口投与した。投与に関連した変化は見られず、NOEL は最高用量の 10 mg/kg 体重/日とされた 1, 2, 3)


    3. 変異原性試験

      変異原性に関する情報なし。

    4. その他

      100 名のボランティアに 10(w/v) ラッカーゼ溶液(バッチ PPX 57200.5 ml を貼付するパッチテストを 9 回おこなった。パッチは 2x2 cm のサイズで 24 時間ごとに月曜から金曜まで 3 週間貼付した。最後の貼付から 2 週後にパッチのあった腕に 10(w/v)ラッカーゼ溶液(バッチ PPX 5720)を貼付し、24 時間後に取り除き、48 時間後と 96時間後に反応についてスコアを付けた。100 名中 3 名は皮膚刺激性を示す可能性を示したが、同時に検討した 1-2 種類の他の酵素にも反応した。約 1 ヶ月後の検査ではその 3

      のいずれも皮膚刺激性は見られなかった 1, 3)


    5. 海外評価書における扱い

      JECFA では、Myceliophthora Thermophila からの遺伝子を導入した Aspergillus oryzae で発現させたラッカーゼとして 2003 年に評価しており、GMP に従って用いられる場合はADI not specified と判断している 1)

      FDA では、Myceliophthora Thermophila からの遺伝子を導入した Aspergillus oryzaeで発現させたラッカーゼとして 2003 年に評価しており、息をすっきりさせる製品(ブレスミント及びチューイングガムなど)や他の食品に GMP に従って必要な最低限の量を用いる場合は generally recognized as safeGRAS)としている 4)


  4. 結論

    本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。


  5. 参考資料

    1. JECFA: WHO Technical Report Series 922Food Additives Series 52 (2003)


    2. Bolton N.(1997) Laccase, PPX 5720 : Toxicity study by oral (gavage) administration to CD rats for 13 weeks. Unpublished report No. NLE186/9703426 from Huntingdon Life Sci- ences Ltd., Suffolk, England. Submitted to WHO by Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark.

    3. Brinch, D.S. & Pedersen, P.B. (2002) Toxicological studies on laccase from Myceliophthora thermophila expressed in Aspergillus oryzae. Regul. Toxicol. Pharmacol., 35, 296–307.

    4. GRAS Notice GRN 122 (2003): GRAS notification for Laccase enzyme preparation produced by Aspergillus oryzae expressing the gene encoding a laccase from

Myceliophthora Thermophila use in breath freshening products (such as breath mints and chewing gum) as an enzyme.