ペカンナッツ色素


1.食品添加物名
 ペカンナッツ色素 (Pecan nut colour)

2.基原・製法・本質
 クルミ科ピーカン(Caraya pecan ENGL. et GRAEBN.)の果皮又は渋皮より、熱時水若しくは水エタノールで抽出して得られたもの又は熱時酸性水溶液で抽出し、中和して得られたものである。主色素はフラボノイドである。褐色を呈する。

3.主な用途
 着色料

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 ペカンナッツ色素(デキストリン60%含有)でのF344ラットを用いた混餌(0.5、1.5、5.0%)投与による90日間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められない1)。無毒性量はペカンナッツ色素として雄で1,287mg/kg/day(5.0%用量群)、雌で1,344 mg/kg/day(5.0%用量群)と考えられる。デキストリンを含む検体の無毒性量は雄で3,217mg/kg/day、雌で3,361mg/kg/dayと考えられる。

(2)変異原性試験
 細菌を用いた復帰突然変異試験2)では、TA98株のS9無添加の高用量域(10mg/plate以上)で陽性と判断されるが、代謝活性化系を組み込むことにより陰性となる。哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験3)では、構造異常の明白な誘発は認められなかったが、倍数体の誘発が観察された。ただし、充分高用量まで検討されたマウスを用いた小核試験4)の結果は陰性と判断される。従って、in vitroで観察された倍数体の誘発は、生体にとって問題となるようなものではないと考えられる。


(引用文献)

  1. 井上 達:厚生省平成7年度食品添加物安全性再評価等の試験検査,90日間反復投与毒性試験,国立医薬品食品衛生研究所
  2. 宮部正樹:厚生省平成7年度食品添加物安全性再評価等の試験検査,変異原性試験(Ames法),名古屋市衛生研究所
  3. 鳥羽和憲:厚生省平成7年度食品添加物安全性再評価等の試験検査,変異原性試験(Chromosome法),横浜市衛生研究所
  4. 蜂谷紀之:厚生省平成7年度食品添加物安全性再評価等の試験検査,変異原性試験(小核試験),秋田大学医学部