ベニバナ黄色素
1.食品添加物名
ベニバナ黄色素 (Carthamus yellow)
2.基原・製法・本質
キク科ベニバナ (Carthamus tinctorius
LINNE)の花より、室温時~微温時水で抽出して得られたものである。主色素はサフラーイエロー (サフロミン)類である。黄色を呈する。
3.主な用途
着色料
4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
急性経口LD50はマウスで 20g/kg 超1),5)、ラットで5g/kg 超2),3),4)と考えられる。
(2)反復投与/発がん性試験
SDラットを用いた混餌 (0.1、1、10%)投与による6ヶ月間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められていない。無毒性量は5g/kg/day
と考えられる6)。
F344ラットを用いた混餌
(2.5、5%)投与による108週間の発がん性試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められていない。発がん性は認められていない。無毒性量は2.5g/kg/dayと考えられる7)。
(3)変異原性試験
ベニバナ抽出物及びベニバナ黄色素 (液体)は、細菌を用いた復帰変異試験で陰性の結果を示した4),8)が、粉末では
0.5~200mg/plate の用量で陽性の結果が報告されている4)。液体についての細菌を用いた
DNA修復試験の結果は陰性と判断される4)。哺乳乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウスを用いた小核試験の結果は、いずれも陰性と判断される9),10)。
(引用文献)
1.Carthamus Yellow, WHO Food Additive Series No.12, pp64 (21st), 1985
2.紅花黄色色素のラットを用いた経口急性毒性試験, 1980,
社内データ (未公表)
3.清水充ら: 化学的合成品以外の食品添加物のマウス及びラットにおける急性経口毒性について, 生活衛生, 37(5), 215-220, 1993
4.峰谷紀之ら:
天然添加物の急性毒性及び各種変異原性試験成績の概要, トキシコロジーフォーラム, 8(1), 91-105, 1985
5.サフロールエローの急性・亜急性毒性試験報告書, 1967, 社内データ
(未公表)
6.黄色色素タナカラーY慢性毒性試験報告書, 1971, 社内データ (未公表)
7.松木尚ら: Lack of Carcinogenicity of Commercial Safflower
Yellow in Fischer 344 Rats, J. Toxicol. Pathol., 1, 149-155, 1988
8.微生物を用いる突然変異試験報告書, 1986, 社内データ
(未公表)
9.石館基ら: 食品添加物の変異原性試験成績, 変異原と毒性, 第12集, 82-90, 1980
10.祖父尼俊雄ら: 食品添加物の変異原性試験成績 (その11), 変異原性試験, 2(1),
19-28, 1993