べニコウジ色素
1.食品添加物名
べニコウジ色素 (MonasCus Colour)
2.基原・製法・本質
子のう菌類べニコウジカビ (Monascus pilosus K. SATO
ex D. HAWKSWORTH et PITT, Monascus purpreus
WENT.)の菌体より、室温時~微温時含水エタノール又は含水プロピレングリコールで抽出して得られたものである。主色素はモナスコルブリン及びアンカフラビン等である。赤色を呈する。
3.主な用途
着色料
4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
急性経口LD50はマウスで14g/kg超、ラットで5g/kg超であるl),2)。
(2)反復投与/発がん性試験
F344ラットを用いた混餌
(0.6、1.25、2.5、5、7%)投与による13週間の反復投与試験において、7%投与群で体重増加抑制、5%以上の投与群で腎細管上皮の壊死が認められている。無毒性量は1.25g/kgと考えられる3)。
F344 ラットを用いた混餌 (0、1.25、2.5%)投与による 108週間の発がん性試験において、検体投与に起因する腫傷の発生は認められていない4)。
(3)変異原性試験
細菌を用いた復帰変異試験の結果は陰性と判断されるが5,6)、1~200ml/plateという高用量の試験で陽性の結果が報告されている
7)。細菌を用いたDNA修復試験6),7),8)、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験の結果は、いずれも陰性と判断される9)。マウスを用いた小核試験では5g/kgという高用量まで試験が行われ,
結果は陰性と判断される10)。
(引用文献)
1.天然色素モナスレッドの急性毒性, 1973, 社内データ (未公表)
2.清水充ら: 大阪市立環境研,
化学的合成品以外の食品添加物のマウスおよびラットにおける急性経口毒性について, 生活衛生, 37, 215-220, 1993
3.日浅義夫: 紅麹色素のF344 ラットへの亜急性毒性試験報告, 厚生省委託試験
(平成3年度)
4.Y. Hiasa, et al., Lack of Carcinogenicity of Monascus Colour in Fisher 344 Rats Journal of
Toxicological Pathology, 10(4), 187-192, 1997
5.アンカレッドSP500 の微生物を用いる変異原性試験, 1984, 社内データ (未公表)
6.古泉快夫ら:
紅麹菌産生色素の微生物に対する突然変異誘発性について, 新潟大学医療技術短期大学部, 新潟医学会雑誌, 95(7), 453, 1981
7.蜂谷紀之: 天然添加物の急性毒性および各種変異原性試験成績の概要,
トキシコロジーフォーラム, vol.8(1), 91-105, 1985
8.黒田孝一ら: 食品添加物のレックアッセイ (第2報)-天然添加物49品目の成績-, 生活衛生, 33, 15-23,
1989
9.石館基ら: 食品添加物の変異原性試験成績, 変異原と毒性, 第12集, 82-90, 1980
10.蜂谷紀之ら: 天然添加物についての小核試験, 変異原性試験, Vol.1(1), 13-17,
1992