ベタイン

1.食品添加物名
 ベタイン
2.基原、製法、本質
 アカザ科サトウダイコン( Beta vulgaris LINNE var. rapa DUMORTIER)の糖蜜より、分離して得られたものである。成分はベタインである。
3.主な用途
 調味料
4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 F344系ラットを用いて52週間の慢性毒性試験(1.0、2.3、5.0%)及び104週間の発がん性試験(1.0%、5.0%)を混餌にて実施した。
 一般状態では、慢性毒性試験及び発がん性試験のいずれも著変は認められなかった。体重は各群とも試験期間を通じて漸増した。摂餌量は、慢性毒性及び発がん性試験のいずれも本剤投与群で散発的に対照に比較して有意に少ない週が認められた。
 発がん性試験の生存率は、雌雄とも対照群との間に差は無かった。
 血液学的検査では、慢性毒性試験の雄2.3%以上及び雌1.0%以上の群で平均赤血球容積減少、雌雄5.0%群で平均赤血球ヘモグロビン量減少が観察され、発がん性試験の雌5.0%群で平均赤血球容積減少及び平均赤血球ヘモグロビン量減少が観察された。また、血小板数の増加傾向が慢性毒性及び発がん性試験の雌雄の本剤投与群に観察された。
 慢性毒性試験で実施された血液生化学検査においては、総蛋白濃度、アルブミン濃度、A/G比及びのGOT低下が雌雄の本剤投与群に、ALP、GPTの低下が雄の本剤投与群で認められた。
 臓器重量では、肝臓及び腎臓の重量増加が慢性毒性試験及び発がん性試験の雌雄の5.0%群で認められた。
病理組織学的検査においては、慢性毒性試験及び発がん性試験の雌雄とも対照群に比較して発生頻度及び程度の差は認められなかった。また、用量に相関して発生頻度が増加する腫瘍あるいは非腫瘍性変化は認められなかった。
 以上から、無毒性量は5.0%(雄:4821mg/kg/day、雌:4150mg/kg/day)であり、5.0%までの濃度では発がん性は示さないことが明らかとなった。 1)
(2)遺伝毒性試験
 ネズミチフス菌( Salmonella typhimurium TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、5000 μg/plateまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。 2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高用量 5000μg/mLまでの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発は認められなかった。 3)
 マウス(ICR 系雄)の骨髄を用いた小核試験は、限界用量である2000mg/kgまで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。4)

(引用文献)
1.小野宏:(財)食品薬品安全センター
2.兒嶋昭徳:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、名古屋市衛生研究所
3. 及び4.岩本毅:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財)残留農薬研究所