プルラン


1.食品添加物名
 プルラン(Pullulan)

2.基源・製法・本質
 黒酵母(Aureobasidium pullulans (DE BARY) ARN.)の培養液より、分離して得られた多糖類である。成分はプルランである。

3.主な用途
 増粘安定剤、製造用剤

4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
 急性経口LD50はマウスで14,300~24,100mg/kg超1),2)、ラットで5,000mg/kg超である3)

(2)反復投与試験
 SDラットを用いた混餌(1、5、10%)投与による62週間の反復投与試験が行われているが、肺炎による死亡のため対照群の生存率が 50%を下回っており、評価し得る毒性学的所見は限定される。10%投与群で難吸収性糖質の投与によるものと考えられる盲腸重量の増加が認められている3)

(3)変異原性試験
 細菌を用いた復帰変異試験 4),5)、細菌を用いた DNA 修復試験3)、マウスを用いた小核試験6)の結果は、いずれも陰性と判断される。

(4)その他
 健康成人男性13人を対象とした分子量50,000のプルラン(10g/日)の 14 日間反復摂取後の血液生化学検査において、検査値の変化は認められていない7)

(引用文献)
1.プルランの急性毒性試験, 昭和49年8月, 社内データ (未公表)
2.プルランの毒性試験, 昭和49年6月, 社内データ (未公表)
3.T. Kimolo, el al.: Safety studies of a novel starch, pullulan. Chronic toxicity in rats and bacterial mutagenicity, Food and Chemical Toxicology, 35, 323-329 (1997)
4.蜂谷紀之ほか: 天然添加物の急性毒性および各種変異原性試験成績の概要, トキシコロジーフォーラム, Vol.8(1), 91-105, 1985
5.プルランの突然変異誘発試験, 昭和53年3月, 社内データ (未公表)
6.石館 基ほか: 食品添加物の変異原試験成績 (その9), 昭和 62 年度厚生省試験研究による,トキシコロジーフォーラム, Vol.11(6), 663-669, 1988
7.米山 勝ほか: ヒトにおける水浴性多糖プルラン摂取の影響, 澱粉科学, 37(3), 123-127, 1990