フィターゼ
英名: Phytase
CAS No. 9001-89-2 (6-Phytase)
JECFA No. 該当なし別名: 該当なし
構造式: -
基原・製法
糸状菌(Aspergillus niger に限る)の培養物から得られた、フィチン酸を分解する酵素である。食品(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存又は力価調整の目的に限る)又は添加物(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、pH 調整又は力価調整の目的に限る)を含むことがある。
主な用途
フィターゼは、フィチン酸を分解して、無機リンを遊離する酵素群の総称であり、デンプンの加工助剤として用いられる 1)。
安全性試験の概要
経口投与の情報なし
SD ラット(雌雄各群 10 匹)にフィターゼ(6-フィターゼ、SP 938, PPQ 5938、 Peniophora lycii から分離したフィターゼ遺伝子から Aspergillus niger により製造)を 0、1、3 又は 10 mg/kg 体重/日(それぞれ 0、0.11、0.32 又は 1.07 mg TOS/kg 体重/日相当)を 13 週間強制経口投与したところ,被験物質に起因する毒性影響はみられず、NOELは 10 mg/kg 体重/日と考えられた 1)。
Ames 試験、培養細胞を用いた染色体異常試験及び小核試験が実施されており、Ames試験で陽性、染色体異常試験で構造異常が観察されているが、Ames 試験陽性は被検物質にヒスチジンが含まれているための偽陽性と考えられ、また、小核試験が陰性であることから、生体における染色体異常誘発性は無いと考えられる 3)。
Ames 試験:偽陽性;5,000 g/plate。TA100(代謝活性化および非代謝活性化)、TA1535(代謝活性化)、TA98(代謝活性化および非代謝活性化)で陽性であるが、被検物質にヒスチジンが含まれているための偽陽性と考えられる。
染色体異常試験:陽性;構造異常(非代謝活性化);5,000 g/mL
小核試験:陰性;2,000 mg/kg 体重
オーストラリア食品安全基準( Australian Food Standards Code ) において、 Aspergillus niger 由来のフィターゼは評価され、食品グレード酵素(food grade enzyme)としての使用が許可されている 1)。
結論
本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。
参考資料
Australia New Zealand Food Authority, Full Assessment Report, Application A371- Phytase as a processing aid.
林ら:食品衛生学雑誌 46, 177-184 (2005)