ニガヨモギ抽出物

    1.食品添加物名
     ニガヨモギ抽出物(ニガヨモギの全草から得られた、セスキテルベンを主成分とするものをいう。)

    2.基原、製法、本質
     キク科二ガヨモギ( Artemisia absinthium L.)の全草より、水又は室温時エタノールで抽出して得られたものである。主成分はセスキテルペン( アブシンチン等)である。

    3.主な用途
     苦味料等

    4.安全性試験成績の概要
    (1)反復投与試験
     Wistar ラットを用いた混餌(0.125、0.5、2 %)投与による 13 週間の反復投与試験において、いずれの投与群においても死亡動物は認められず、体重増加量、血液学的及び血清学的検査、臓器重量測定及び病理組織学的検査において被験物質投与に起因した変化は何ら認められない。1)
    (2)遺伝毒性試験
     細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2urA/pKM101) を用いた復帰突然変異試験は、5000 m g/plate まで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2 )
     ほ乳類培養細胞(CHL/IU)を用いる染色体異常試験は、5000 m g/plateまで試験されており、短時間処理法の代謝活性化のない条件下において、用量依存性に染色体異常の誘発が認められた。3)
     マウスを用いた小核試験は、2000mg/kg まで試験されており、いずれの用量においても小核誘発性は認められなかったことから、陰性と判断した。4)
     ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験において陽性結果が報告されているが、十分高用量まで試験したげっ歯類を用いる小核試験において陰性であったことを考慮すると、in vitroで見られた染色体異常誘発性が生体内で発現するとは考え難い。従って、本剤は生体において問題となる遺伝毒性を発現するものではないと考える。

    (引用文献)
    1. 三森国敏:厚生労働科学研究補助金、東京農工大学農学部
    2. 松島泰次郎:平成11 年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、日本バイオアッセイ研究センター
    3.及び4. 望月信彦: 食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財) 食品農医薬品安全性評価センター