トランスグルコシダーゼ

英名: Transglucosidase CAS No. 9030-12-0

JECFA No. 該当なし別名: 該当なし

構造式: -


  1. 基原・製法

    糸状菌(Aspergillus niger 及び Aspergillus usamii に限る)又は細菌(Sulfolobus solfataricus に限る)の培養物から得られた、マルトースやオリゴ糖のグルコシド結合を加水分解し、同時にグルコシル基を転移する酵素である。食品(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存又は力価調整の目的に限る)又は添加物(賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、 pH 調整又は力価調整の目的に限る)を含むことがある。


  2. 主な用途

    酵素


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      経口投与の情報なし


    2. 反復投与毒性試験

      反復投与毒性に関する情報なし


    3. 変異原性試験

      Ames 試験、染色体異常試験及び in vivo 小核試験が実施されており、全て陰性と報告されている 1)


      Ames 試験:陰性;5,000 g /plate

      染色体異常試験:陰性;5,000 g /mL

      小核試験:陰性;2,000 mg/kg 体重

    4. その他


    5. 海外評価書における扱い

      米国FDA は、Aspergillus niger 由来トランスグルコシダーゼ遺伝子を導入した糸状菌

      Trichoderma reesei)の培養物から得られたトランスグルコシダーゼについて、GRAS

      GRN 315 および 703)としている 2, 3)

      オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、遺伝子修飾のない Aspergillus niger 株由来のトランスグルコシダーゼについて、”From the available information, it is concluded that the use of the transglucosidase from this source as a processing aid would pose no significant public health and safety risk.”としている 4)

      フランス食品衛生安全庁(AFSSA)は、非遺伝子組換え Aspergillus niger 株由来のα-グルコシダーゼ(トランスグルコシダーゼ)を、デンプンを含む調理済み食品の製造に使用する認可範囲拡大について、申請者の申請条件で使用しても消費者の健康リスクは無いと判断している 5)


  4. 結論

    本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。


  5. 参考資料

    1. 林、田中:食品衛生学雑誌 46, 5, 177-184 (2005)


    2. FDA: GRAS Notice GRN 315. U.S. Food and Drug Administration. 2010.


    3. FAD: GRAS Notice GRN 703. U.S. Food and Drug Administration. 2017.


    4. Final Assessment Report: Application A466 Food Enzyme, Transglucosidase. Food Standard Australia New Zealand. 2003.

    5. Agence française de sécurité sanitaire des aliments. 2009.