ツヤプリシン(抽出物)
1.食品添加物名
ツヤプリシン (抽出物) (Thujaplicin (extract))
2.基原・製法・本質
ヒノキ科ヒバ(Thujopsis dolabrata
SIEB. et
ZUCC.)の幹枝又は株根より水蒸気蒸留して得られたものを、室温時アルカリ性水溶液で精油を除去し、中和後、ヘキサンで再結晶させた後、溶媒を除去したものである。主成分はツヤプリシン類である。
3.主な用途
保存料
4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
ヒノキチオールの急性経口LD50はマウスで399~504mg/kgと考えられる1),
2)。
(2)反復投与試験
ヒノキチオールナトリウムのマウスを用いた強制経口(1、5、10、50mg/kg)投与による6ヶ月間の反復投与試験において、10mg/kg
以上の投与群で副腎皮質の脂肪類粒の増加及び肝小葉の単核細胞浸潤が認められている。無毒性量は5mg/kg/dayと考えられる3)。
(3)変異原性試験
ヒノキチオールの細菌を用いた復帰変異試験の結果は陰性と判断される4)。細菌を用いたDNA修復試験では、-S9で 1.0mg/diskで陽性の結果が得られたが、+S9
では陰性となった4,5)。培養細胞を用いた染色体異常試験では、-S9で0.002mg/ml という低用量で染色体異常が誘発されたが、+S9 では 0.01mg/ml
で陽性と判断される4)。マウスを用いた小核試験では、22.5~90.0mg/kg の用量で試験が行われ、結果は陰性と判断される6)。
(引用文献)
1.李淑玉:
Hinokitiolの薬理学的研究, 新潟医学会雑誌 95(2), 1951
2.山田明男: 天然添加物安全性試験, ヒノキチオール, 茶抽出物, e-ポリリジンの急性毒性試験, 平成元年度厚生省委託試験報告,
大阪市立環境科学研究所
3.中野敏: 不飽和7員環化合物の実験的並びに臨床的研究, 新潟医学会雑誌, 第73巻補冊第1号, 昭和34年
4.祖父尼俊雄ら: 食品添加物の変異原性試験成績 (その11), 変異原性試験,
2(1), 19-28, 1993
5.上野清一、石崎睦雄: 天然添加物のDNA損傷活性 (その6), 食品衛生学雑誌, 33(4), 378-382, 1992
6.滝澤行雄: 平成3年度食品安全性再評価等の試験
(厚生省委託), 天然添加物の小核誘発性に関する研究, 秋田大学