タマリンド色素


1.食品添加物名
 タマリンド色素 (Tamarind Colour)

2.基原、製法、本質
 マメ科タマリンド(Tamarindus indica LINNE)の種子を賠焼したものより、温時弱アルカリ性水溶液で抽出し、中和して得られたものである。主色素はフラボノイドである。赤褐色を呈する。

3.主な用途
 着色料

4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
 急性経口LD50は、マウスで5g/kg超と考えられる1)

(2)反復投与試験
 SD系ラットを用いた混餌(1.25、2.5、5.0%)投与による90日間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められていない2),3)。無毒性量は最高用量である5.0%(雄3,278.1mg/kg/day、雌3,885.1mg/kg/day)と考えられる。

(3)変異原性試験
 細菌を用いた復帰突然変異試験4)、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験5)の結果は陰性と判断される。細菌を用いたDNA修復試験6)では、S9無添加の高用量域(3mg/disk以上)で弱い反応が観察されているが、代謝活性化系を組み込むことによりこの弱陽性反応は見られなくなる。従って、代謝されて不活化されるものであり、生体にとって問題となるものではないと考えられる。


(引用文献)

  1. 滝澤行雄:厚生省平成3年度食品添加物安全性再評価等の試験,天然添加物の急性毒性に関する試験,秋田大学
  2. タマリンド色素ココアブラウンTRSP(B)のラットを用いた混餌投与による90日間反復投与毒性試験,1997,社内データ(未公表)
  3. Mochizuki,M., et al., A 90‐day(dietary)toxicity study of tamarind pigments Coco Brown TRSP(B)in rats,日本食品化学会誌(Japanese Journal of Food Chemistly),5(2),140‐145,1998
  4. 山本勝彦:厚生省平成3年度食品添加物安全性試験,変異原性(第1次試験)Ames法,名古屋市衛生研究所
  5. 祖父尼俊雄:厚生省平成3年度食品添加物安全性再評価等の試験・天然添加物の哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験,国立衛生試験所
  6. 石崎睦雄:厚生省平成3年度食品添加物安全性再評価等の試験,茨城県衛生試験所