スフィンゴ脂質

1.食品添加物名
 スフィンゴ脂質(ウシの脳又は米ぬかから得られた、スフィンゴシン誘導体を主成分とするものをいう) 。
2.基原、製法、本質
ウシ科ウシ( Bos taurus LINNE)の脳、イネ科イネ( Oryza sativa LINNE)の種子又は小麦( Triticum aestivum LINNE)の胚芽から得られた米ぬかより、室温時~温時エタノール、含水エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、ヘキサン又は酢酸エチルで抽出したものより得られたものである。主成分はスフィンゴシン誘導体である。
3.主な用途
 乳化剤
4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 Wistar Hannover(GALAS) 系ラットに被験物質60、 250、 1000mg/kgを強制投与し、90日間反復投与試験を行った。その結果、動物の死亡は認められず、一般状態、体重増加量、血液学的及び血清生化学的検査、臓器重量及び病理組織学的検査において、被験物質に起因する変化は認められなかった。
無毒性量は雌雄で1000mg/kgであると考えられる。 1)
(2)遺伝毒性試験
 ネズミチフス菌(S almonella typhimurium TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、5000 μg/plateまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。 2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高用量5000μg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発は認められなかった。 3)
 マウス(ICR 系雄)の骨髄を用いた小核試験は、限界用量である 2000mg/kg × 2 まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。 4)

(引用文献)
1.三森国敏:厚生労働科学研究費補助金、東京農工大学農学部獣医学科教授
2.松島泰次郎:平成12年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、日本バイオアッセイ研究センター
3.望月信彦:平成12年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、財団法人食品農医薬品安全性評価センター
4.岩本毅:財団法人残留農薬研究所