ステビア末

英名: Powdered Stevia

CAS No. 91722-21-3(ステビア抽出物) 57817-89-7(ステビオシド)

JECFA No. 該当なし

別名: Steviol Glycosides(主成分であるステビオール配糖体)構造式: -


  1. 基原・製法

    キク科ステビア(Stevia rebaudiana BERTONI) の葉を、粉末としたものである。主甘味成分はステビオール配糖体(ステビオシド及びレバウジオシド)である。


  2. 主な用途

    甘味料


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      マウス(雄)経口 LD50 > 500 mg/kg 体重 1)ラット(雄)経口 LD50 > 500 mg/kg 体重 1)犬(雌雄) 経口 LD50 > 500 mg/kg 体重 1)


    2. 反復投与毒性試験

      ラット(系統不明)にステビオシドを 2 年間混餌投与したところ、5%群では雄の最終の生存率低下、雌雄の体重低下、腎実質重量の低下が見られ、NOAEL 2.5%群の 970 mg/kg 体重/日、(ステビオールとして 383 mg/kg 体重/日)と考えられた 2)


    3. 変異原性試験

      <国内報告> 3)

      ステビオシドとして、純度 50%の場合において細菌を用いた復帰変異試験では陽性との報告があるが、純度 50%および 85%のステビオシドでは陰性の結果が得られている。また、細菌を用いた DNA 修復試験、細菌を用いた前進突然変異試験、Umu test および哺乳類細胞を用いた染色体異常試験はいずれも陰性と報告されている。

      ステビオールとして、細菌を用いた前進突然変異試験、細菌を用いた DNA 修復試験及

      び哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において、代謝活性化条件下で陽性であった。一方、細菌を用いた復帰変異試験、細菌を用いた DNA 修復試験並びにマウスを用いた小核試験の結果は、いずれも陰性と報告されている。


      <海外報告> 4)

      純度不特定のステビオシドについて、ヒトのリンパ球細胞および口粘膜細胞を用いた in vitro 小核試験において陽性の報告があるが、純度 95%以上のステビオシドに対して細菌を用いた復帰突然変異試験、Rec-assay で陰性と報告されている。また、純度不特定のステビオシドについて、姉妹染色分体交換(SCE)試験および染色体異常試験が実施されているが、どちらも陰性と報告されている。純度 88.62%のステビオシドを使った in vivo コメット試験では、陽性との報告があるが、この試験結果の妥当性が他の研究者らから疑問視され、その遺伝毒性の証明には説得力が無いと報告されている。

      純度不特定のステビオールについて、細菌(S. typhimurium TM677)を用いた前進突然変異試験では陽性との報告があるが、その著者らは菌株は代謝活性化条件下(ポリ塩化ビフェニルだけで誘発させたラット由来の S9 を使用)では、ステビオールに対して一意的に感受性を示し、in vivo の生体内環境とは無関係であると報告している。また、純度 90%のステビオールに対して、ラット、ハムスターおよびマウスを用いた骨髄小核試験が実施されており、すべて陰性と報告されている。

      ・ステビオシド

      Ames 試験:陰性; TA100TA1535TA98TA1537TA1538GA46WP2hcr- 1010,000 g/plate (代謝活性化および非代謝活性化)

      染色体異常試験:陰性;ヒトリンパ球 0.0110 mol/L SCE 試験:陰性;ヒトリンパ球 0.0110 mol/L

      Rec-assay:陰性;B-subtilis H17(rec+)M45(rec-) 5002,000 g/plate (代謝活性化および非代謝活性化)

      In vitro 小核試験:陽性;ヒトリンパ球、ヒト口粘膜 0.0110 mol/L

      In vivo コメット試験:偽陽性;Wistar rat 肝臓、脳、末梢血、脾臓 4 mg/mL 経口

      ・ステビオール

      前進突然変異試験:偽陽性;S-typhimurium TM677 (代謝活性化および非代謝活性化)

      骨髄小核試験:陰性;ラット、ハムスター、マウス 48 mg/kg 体重


      以上のことからステビオシド、ステビオールを含むステビア末には生体にとって問題となる変異原性はないものと考えられた。


    4. その他

      毒性が懸念される報告はない。


    5. 海外評価書における扱い

      JECFA では、ステビオール配糖体を評価しており、ステビオールの ADI 0-4 mg/kg

      体重/日と判断している 2), 5)


  4. 結論

    本既存添加物は、現状の使用において、ヒト健康影響に対する安全上の懸念は認められなかったと結論された。


  5. 参考資料

    1. Bazotte, R.B., Lonardoni, M.T.C., Alvarez, M., Gaeti, W.P. & Amado, C.A.B. (1986) [Determination of the lethal dose LD50 of isosteviol in laboratory animals.] Arq. Biol. Tecnol., 29, 711–722 (in Portuguese).

    2. JECFA: Evaluation of certain food additives, WHO Technical Report Series 952 (2009)

    3. 平成 8 年度厚生科学研究報告書: 既存添加物の安全性評価に関する調査研究 https://www.ffcr.or.jp/houdou/1998/04/9C1A85A276A3290749256A4600080A21.ht ml?OpenDocument

    4. JECFA: Safety evaluation of certain food additives. WHO Food Additives Series 60 (2009)

    5. JECFA: Evaluation of certain food additives, WHO Technical Report Series 1000 (2016)