ゴマ油不けん化物
食品添加物名
ゴマ油不けん化物(ゴマの種子から得られたセサモリンを主成分とするものをいう。)
基原、製法、本質
ゴマ科ゴマ(SesamumindicumLINNE)の種子又は種子の搾油糟より、エタノールで抽出して得られたものである。主成分はセサモリンである。
主な用途
酸化防止剤
安全性試験成績の概要
9 0日間反復投与試験
:F344/DuCrj系ラットに、強制経口(loo、300、1000 mg/kg体霞)投与による 90日間反復投与試験を行った。その結果、いずれの群の動物においても死亡は認められず、一般状態、体霊推移及び摂餌蔽に異常はみられず、尿検査、眼科
的検杏、血液学検益及び病理組織学検査においても被験物質に起囚すると考えられる変化は認められなかった。
血液生化学検査では、IOOOmg/kg群の雄で総コレステロール濃度及びNG比の増大が、雌で'Y-GTP活性の上昇が認められた。器官重散では、雌雄の1000 mg/kg群で肝臓の絶対及び相対重量に贈加が認められた。肝相対重最は300 mg/kg群の雌でも増加したが、血液生化学的および病理組織学的に変化が認められないことから、嵩性学的意義は乏しいと考えられた。
以上から、無毒性最は雌雄で300 mg/kg/日であると結論される。])
遺伝毒性試験
細菌(TA98、TAIOO、TA1535、TA1537、WP2uvrA)を用いた復帰突然変異試験は、TA98株及びTAl537株でS9 mix存在下用最依存性を伴った復帰変異コロニー数の増加が認められ、また同TAIOO株で陰性対照の2倍は超えないものの 1.5倍以上の復帰変異コロニー数の増加が認められた。以上から、造伝子突然変異(フレームシフト型)誘発性は陽性と判定された。2)
哺乳類培養細胞(CHL/ill)を用いた染色体異常試験は、短時間処理でS9 mixの有無に係わらず染色体構造異常の用最依存的誘発が認められたことから陽l生と判定された。3)
マウス(BD凡系、雄)を用いた小核試験は、限界用最である2000)ng/kgX 2まで試験されており、小核の出現頻度は、いずれの用量においても陰性対照群と比較して有意な増加が認められなかったことから陰性と判断された。4)
トランスジェニックマウス(Big Blue®)を用いて、被験物質を500、1000 mg/kgの用量で28日間反復強制経口投与し、遺伝子突然変異試験を行った。その結果:いずれの用最においても肝臓及び腎臓での迪伝子突然変異の誘発は認められなかった。5)
ヒト培養細胞(TK6)を用いた遺伝子突然変異試験は、S9 mix非存在下で最高処理濃度0.070mg/mlまで、S9 mix存在下で最高処理濃度0.095 mg/mlまで試験されており、4時間処理ならびに24時間処理とも突然変異率の有意な増加は認められなかった。6)
以上の結果から、復帰突然変異試験及び染色体異常試験で陽性の結果が得られているものの、in vivo小核試験、トランスジェニックマウス及びヒト培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験の結果を考慮すると、生体に‘とって特段問題となる遺伝毒性はないものと考えられる。
(引用文献)
小野宏:平成1 5年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター秦野研究所
望月信彦:平成1 6年度食品 添加物等規格基準に関する試験検査等について
(ゴマ油不けん化物の細菌を用いる復帰突然変異試験)、(財)食品農医薬品安全性評価センター
望月信彦:平成1 6年度食品 添加物等規格基準に関する試験検査等について
(ゴマ油不けん化物のほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験)、(財)食品股区薬品安全性評価センター
望月信彦:平成1 6年度食品 添加物等規格基準に関する試験検査等について
(ゴマ油不けん化物のマウスを用いる小核試験)、(財)食品農医薬品安全性評価センター
望月信彦:平成1 9年度概存添加物の安全性に関する試験(トランスジェニッ
クマウスを用いるゴマ油不けん化物の追伝子突然変異試験)、(財)食品股医薬品安全性評価センター
小島幸ー:平成平成1 9年度既存添加物の安全性に関する試験(ヒト培養細胞遺伝子突然変異試験)、 (財)食品安全安全センター