グルコサミン

英名: Glucosamine

CAS No. 3416-24-8(塩酸塩は 66-84-2

JECFA No. 該当なし別名: 該当なし

構造式:


  1. 基原・製法

    「キチン」を、塩酸で加水分解し、分離して得られたものである。成分はグルコサミンである。


  2. 主な用途

    増粘安定剤、製造用剤


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      マウス 経口 LD50 > 15,000 mg/kg 体重 1)


      雌雄ラット(系統不明)にグルコサミン塩酸塩を 5,000 mg/kg 体重で投与したところ、毒性影響はなく、経口の急性毒性は高くないと考えられた 2)


    2. 反復投与毒性試験

      ラット(系統不明)を用いた52週間反復投与毒性試験では、NOAEL2,130 mg/kg体重/日と考えられた(非公開)3)

      F344ラット(雌雄各群40匹)にグルコサミンを 0.5%1.67%5%で90日間混餌投与したところ、5%群で、雌では肝重量増加、雄では摂水量増加を伴う尿量増加及び尿比重の低下、腎重量増加と病理組織学的に好酸性小体の程度の増強が見られ、実験者は NOAEL1.67%(雄1,075 mg/kg体重/日、雌1,158 mg/kg体重/日)としている 4)


    3. 変異原性試験

      Ames 試験及び in vivo 小核試験が実施されており、全て陰性と報告されている 3), 5)

      in vivo 染色体異常試験陽性結果も存在するが、標準的な試験法ではなくEFSA は信頼性が低いと判断している 3)


      <国内報告> 5)

      Ames 試験:5,000 g/plate


      <海外報告> 3)

      Ames 試験:陰性; TA100TA1535WP2uvrATA98TA1537 1005,000 g/plate (代謝活性化および非代謝活性化)

      小核試験:陰性; マウス 502,000 mg/kg 体重、経口投与


    4. その他

      毒性が懸念される報告はない。


    5. 海外評価書における扱い

      EFSAでは、コウジカビ由来のグルコサミン塩酸塩について安全であると評価してい3)


  4. 結論

    本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。


  5. 参考資料

  1. 関鋼三郎:塩酸グルコサミンの一般薬理作用について 第 10 回北部会(岩手)記事 56,

    64S (1960)


  2. 社団法人 菓子総合技術センター:N-アセチルグルコサミン・グルコサミン、食品新素

    材有効利用技術シリーズ (2000)


  3. EFSA, SCIENTIFIC OPINION, Opinion of the safety of glucosamine hydrochloride from Aspergillus niger as food ingredient, Scientific Opinion of the Panel on Dietetic

    Products, Nutrition and Allergies, (Question No EFSA-Q-2008-306), The EFSA Journal 1099, 1-19 (2009)


  4. 河部 真弓 他:グルコサミンのラットを用いた 90 日間反復投与毒性試験 日本食品化学学会誌 12(1): 15-22 (2005)

  5. 麻野間、田村:名古屋市衛研報 52, 39-44 (2006)