カキ色素

    1.食品添加物名
     カキ色素(カキの果実から得られた、フラボノイドを主成分とするものをいう。)

    2.基原、製法、本質
     カキノキ科カキ( Diospyros kaki THUNB.) の果実を発酵後、焙焼したものより、温時含水エタノールで抽出して得られたもの、又は温時弱アルカリ性水溶液で抽出し、中和して得られたものである。主色素はフラボノイドである。赤褐色を呈する。

    3.主な用途
     着色料

    4.安全性試験成績の概要
    (1)反復投与試験
     SDラットを用い、検体濃度を1.26、2.5、5.0%となるように調整し、混餌投与にて 90 日間反復経口投与試験を実施した。その結果、全試験期間において死亡動物は認められず、体重、摂餌量、血液化学検査及び病理学的検査において、被験物質による影響は認められなかった。
     一般状態で、黒色調便の排泄が全ての投与群で認められたが、被験物質の糞中排泄に伴う着色糞と考えられ、毒性学的意義のないものと判断した。血液学的検査で白血球数の有意な減少が 5.0%投与群の雄に認められたが、軽度のものであり、白血球百分率にも差がなく、リンパ系器官の病理学的検査においても被験物質の影響は認められないことから、生理学的範囲内の変動と考えられる。
     無毒性量は、雄雌とも5.0%と推定される。1)
    (2)遺伝毒性試験
     細菌(TA98,TA100)を用いた復帰突然変異原性試験は、代謝活性化の有無に係わらず、His+ 復帰コロニーを誘発しなかったことから(最高用量5000 m g/plate)、陰性と判断した。2)
     哺乳類培養細胞(CHL)を用いた染色体異常試験は、染色体構造異常を誘発した。3 )
     マウス(ICR)を用いた小核試験はいずれの用量においても小核誘発性はないと結論された。4)

    (引用文献)
    1.及び2. 企業データ
    3. 食品添加物の変異原性試験成績(その6)
    4. 食品添加物の変異原性試験成績(その9)
    5. 厚生省等による食品添加物の変異原性評価データシート