エキソマルトテトラオヒドロラーゼ

英名： Exomaltotetraohydrolase CAS No. 37288-44-1

JECFA No. 該当なし

別名： Glucan 1,4-α-maltotetraohydrolase 4-α-D-glucan maltotetraohydrolase

構造式： －


  1. 基原・製法

    放線菌（Streptomyces thermoviolaceus 及び Streptomyces violaceoruber に限る）若しくは細菌（Pseudomonas stutzeri に限る）の培養物から得られた、デンプンに作用し、非還元末端からマルトテトラオース単位で加水分解する酵素である。食品（賦形、粉末化、希釈、 安定化、保存又は力価調整の目的に限る）又は添加物（賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、pH 調整又は力価調整の目的に限る）を含むことがある。


  2. 主な用途

    パン類の劣化の遅延と消費品質の維持


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      ラット 経口 LD50 > 2,000 mg/kg 体重 1)


    2. 反復投与毒性試験

      Wistar HanTM:HsdRccHanTM:WIST ラット（雌雄各群 10 匹）にマルトテトラオヒドロラーゼを 90 日間強制経口投与したところ，被験物質に起因する毒性影響はみられず、 NOAEL は最高用量の 79 mg 総タンパク/kg 体重/日（90.9 mg TOS/kg 体重/日）と考えられた 2)。


    3. 変異原性試験

      Ames 試験および染色体異常試験が実施されており、すべて陰性と報告されている 3) 。


      Ames 試験：陰性； TA100、TA1535、WP2uvrA、TA98、TA1537 50～5,000 g/plate (代謝活性化および非代謝活性化)

      染色体異常試験：陰性； ヒトリンパ球 19.5～625 g/mL (代謝活性化および非代謝活性化)4 時間処理、19.5～312.5 g/mL (非代謝活性化)24 時間処理


    4. その他

      食品安全委員会は「Bacillus licheniformis BRA7 株を宿主として、Pseudomonas stutzeri IAM 1504 株由来の改変エキソマルトテトラオヒドロラーゼ遺伝子（sas3 遺伝子）を導入して作製された MDT06-228 株を利用して生産されたエキソマルトテトラオヒドロラーゼ」について、「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準」(平成 16 年 3 月 25 日食品安全委員会決定)に基づき、挿入遺伝子の安全性、挿入遺伝子から産生されるタンパク質の毒性及びアレルギー誘発性、遺伝子の導入後の塩基配列の解析等 について確認した結果、従来の添加物と比較して新たに安全性を損なうおそれのある要因は認められなかったとし、ヒトの健康を損なうおそれはないと判断している 4)。


    5. 海外評価書における扱い

      JECFA では、改変 Bacillus licheniformis に産生されたマルトテトラオヒドロラーゼの ADI を特定しないとしている 3)。

      FSANZ でも同様に、ADI を特定しないとしている 5), 6)。


  4. 結論

    本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。


  5. 参考資料

    1. Pooles, A. (2008). SAS 3 amylase (Bacillus licheniformis)(GICC 03279): Acute oral toxicity in the rat – fixed dose method. (SPL Project No. 2420/0003, SafePharm Laboratories, United Kingdom).

      （参考資料 5 に引用されている）


    2. Dhinsa, N.K. & Brooks, P. (2008). SAS 3 amylase (Bacillus licheniformis)(GICC 03279): Ninety day repeated dose oral (gavage) toxicity study in the rat (SPL Project No. 2420/0008, SafePharm Laboratories, United Kingdom).

      （参考資料 3 および 5 に引用されている）


    3. JECFA: Safety evaluation of certain food additives and contaminants (2015), WHO Food Additives Series 71

    4. 食品安全委員会：遺伝子組換え食品等評価書「MDT06-228 株を利用して生産されたエキソマルトテトラオヒドロラーゼ」(2017)

    5. Food Standard Australia New Zealand (FSANZ): Risk Assessment Report, Application A1033 maltotetraohydrolase as a processing aid (enzyme) (2009).

    6. Food Standard Australia New Zealand (FSANZ): Approval Report, Application A1033 maltotetraohydrolase as a processing aid (enzyme) (2010).