ウルシロウ

1.食品添加物名
 ウルシロウ(ウルシの果実から得られた、グリセリンパルミタートを主成分とするものをいう。)

2.基原、製法、本質
 ウルシ科ウルシ(Rhus verniciflua LINNE)の果実より、融解、さらして得られたものである。主成分はグリセリンパルミタートである。

3.主な用途
   ガムベース、光沢剤

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 F344/DuCrj系SPFラットに、強制経口(100、300、1000mg/kg)投与による13週間反復投与試験を行った。その結果、いずれの群の動物においても死亡は認められず、一般状態、体重推移、摂餌量及び眼科的検査において被験物質に関連する変化は認められなかった。
 臨床検査では、尿量、尿浸透圧、網状赤血球率、総蛋白質、アルブミン量、A/G比、アルブミン比、β-グロブリン比、ALT、総コレステロール及びリン脂質等に有意な変動が認められたが、いずれも生理的あるいはほぼ生理的変動範囲内の軽度な変化であり、剖検による、器官重量および病理組織学的検査では、被験物質投与に関連した変化は認められなかったことから、被験物質投与による腎機能、造血系あるいは肝機能への影響ではないものと考えられた。
 以上により、無毒性量は雌雄で1000mg/kgであると考えられる。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、5000μg/プレートまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高処理濃度5.0mg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発はみとめられなかった。3)
 マウス(ddY系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、最大耐量である2000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。4)

(引用文献)
1.小野宏:平成15年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター秦野研究所
2.兒嶋昭徳:平成12年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、名古屋市衛生研究所
3.小野宏:平成16年度食品・添加物等規格基準に関する試験検査等について(財)食品薬品安全センター秦野研究所
4.佐藤修二:平成12年度食品添加物安全性再評価等の試験結果、神奈川県衛生研究所