イソアミラーゼ

英名： Isoamylase CAS No. 9067-73-6

JECFA No. 該当なし別名： 該当なし

構造式： －


  1. 基原・製法

    本品は、 細菌（ Bacillus 属、 Flavobacterium odoratum 、 Naxibacter sp. 及び Pseudomonas amyloderamosa に限る）の培養物から得られた、デンプン系多糖類の α- 1, 6-グルコシド 結合を加水分解する酵素である。食品（賦形、粉末化、希釈、安定化、保存又は力価調整の目的に限る）又は添加物（賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、pH調整又は力価調整の目的に限る）を含むことがある。


  2. 主な用途

    でんぷん由来の食材（グルコースシロップ、マルトース・マルチトール、トレハロース、シクロデキストリン、難消化でんぷん）の作製に使用される。


  3. 安全性試験の概要

    1. 急性毒性試験

      マウス (ddy-N) 経口 LD50 > 17,000 mg/kg 体重 1)


    2. 反復投与毒性試験

      Wistar ラット（雌雄各群 20 匹）にイソアミラーゼを 13 週間強制経口投与したところ，被験物質に起因する毒性影響はみられず、NOEL は最高用量の 370 mg TOS/kg 体重/日と考えられた 2)。


    3. 変異原性試験

      Ames 試験および染色体異常試験が実施されており、すべて陰性と報告されている。


      ＜海外報告＞ 3)

      Ames 試験：陰性； TA100、TA1535、WP2uvrA、TA98、TA1537 62～5,000 g/plate (代謝活性化および非代謝活性化)

      染色体異常試験：陰性； ヒトリンパ球 1,250～5,000 g/mL (代謝活性化および非代謝活性化) （代謝活性化および非代謝活性化：3 時間処理）（非代謝活性化：20 および 44時間処理）


      ＜国内報告＞ 4)

      Ames 試験：陰性；5,000 g/plate

      染色体異常試験：陰性；5,000 g/mL

      小核試験：2,000 mg/kg 体重


    4. その他

      毒性が懸念される報告はない。


    5. 海外評価書における扱い

      JECFA では、Isoamylase from Pseudomonas amylodermosa として評価しており、

      ADI を特定しない（not specified）としている 3)。

      このイソアミラーゼは、Pseudomonas amyloderamosa の野生 SB-15 株を化学的に変異させて選定したイソアミラーゼ高産生株 MU 1174 に産生させたものである 5)。イソアミラーゼは、MU 1174 株の純培養の過程で、発酵培養液に分泌されたものを回収・濃縮し、マルトース、グルコース、水、グリセロール脂肪酸、安息香酸で安定化、規格化、標準化した 6)。

      米国 FDA は、食用としてイソアミラーゼの使用は安全として、generally recognized as safe (GRAS)としている 7)。


  4. 結論

    本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。


  5. 参考資料

    1. Morimoto, H., Noro, H. & Ohtaki, H. (1979) Acute toxicity test with isoamylase (of Pseudomonas amyloderamosa origin). Unpublished report No. 12110175-3 from Japan Food Research Laboratories, Tokyo, Japan. Submitted to WHO by Bioresco Ltd, Basel, Switzerland.

    2. Lina, B.A.R. (2000) Sub-chronic (13-wk) oral toxicity study with isoamylase in rats. Unpublished report No. V99.646 from TNO Nutrition and Food Research Institute,

      Zeist, Netherlands. Submitted to WHO by Bioresco Ltd, Basel, Switzerland.

      （参考資料 1 および 2 は参考資料 6 に引用されている）


    3. JECFA: Safety evaluation of certain food additives and contaminants (2008), WHO Food Additive Series 59

    4. 林、田中：食品衛生学雑誌 46, 5, 177-184 (2005)


    5. JECFA: Evaluation of certain food additives and contaminants (2007), WHO Technical Report Series 947

    6. JECFA: Olempska-Beer, Z. (2007) Isoamylase from pseudomonas amyloderamosa, Chemical and Technical Assessment. http://www.fao.org/fileadmin/templates/agns/pdf/jecfa/cta/68/Isoamylase.pdf

    7. FDA: GRAS Notice GRN 85