アラビノガラクタン

英名： Arabino Galactan CAS No. 9036-66-2

JECFA No. 該当なし

別名： L-Arabino-D-galactan, from Larch wood

化学式： C20H36O14

分子量： 500.49

構造式：

1. 基原・製法

   マツ科セイヨウカラマツ（Larix occidentalis NUTT.）又はその他同属植物の根又は幹より、室温時水で抽出して得られたものである。成分は多糖類（構成糖はガラクトース、アラビノース等）である。

2. 主な用途

   増粘安定剤

3. 安全性試験の概要

   1. 急性毒性試験

      ラット経口 LD50 > 5,000 mg /kg 1)

      
      

   2. 反復投与毒性試験

      アラビノガラクタンの動態を調べることを目的としたラットを用いた反復静脈内 投与毒性試験（0、31.25、125、500 mg/kg/日、90 日間、0.22 µm のフィルターろ過）の報告がある。アラビノガラクタンは主に肝臓に蓄積するが、体重、剖検所見、臓器重量に影響は見られなかった 2)。

   3. 変異原性試験

      復帰突然変異試験、染色体異常試験、及び in vivo 小核試験の結果はすべて陰性である 6)。

   4. その他

      アラビノガラクタンは有益な腸内微生物叢、特にビフィズス菌やラクトバチルスなどの嫌気性菌の増加に重要な効果があることが示されている 3)。

   5. 海外評価書における扱い

      FDA においては GRAS とされている 1, 4, 5)。

4. 食品添加物公定書の規格

   規格なし

5. 結論

   アラビノガラクタンは、その基原、製法及び本質と、入手可能な安全性試験の情報

   （急性毒性試験、反復投与毒性試験、変異原性並びにその他の報告）、また米国では GRAS として扱われることに鑑みて、人の健康影響に対する懸念はないものと結論された。

6. 参考資料

1. FDA: Larex, Inc. GRAS Notice Arabinogalactan from Eastern Larch. GRAS Notice GRN No.84. 2001.

2. Groman EV, Enriquez PM, Jung C, Josephson L. Arabinogalactan for hepatic drug delivery. Bioconjug Chem. 1994; 5(6):547-56.

3. Kelly GS. Larch arabinogalactan: clinical relevance of a novel immune-enhancing polysaccharide. Altern Med Rev. 1999; 4(2):96-103.

4. FDA: Larex, Inc. Arabinogalactan GRAS Notification Document. October 15, 1998. GRAS Notice GRN No.17. 1998.

5. FDA: GRAS Notification Larex, Inc. Arabinogalactan. GRAS Notice GRN No.47. 2000.

6. 林ら、既存添加物 43 品目の遺伝毒性試験 食品衛生学雑誌 2005; 46: 177-184.