アウレオバシジウム培養液
1.食品添加物名
アウレオバシジウム培養液(アウレオバシジウム培養液から得られた、b
-1,3-6-グルカンを主成分とするものをいう。)
2.基原、製法、本質
黒酵母(
Aureobasidium pullulans
)の培養液より、分離して得られたものである。主成分はb
-1,3-6-グルカンである。
3.主な用途
増粘安定剤
4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
F344 ラットを用い、検体濃度を 0.56、1.67、5.0%となるように調整し、飲水投与にて 90
日間反復経口投与試験を実施した。その結果、血液学的検査及び血液生化学的検査において有意差のみとめられた検査項目が散見されたが、いずれも用量相関性は認められず、正常範囲内の軽度の変化であるため、被験物質の影響ではないと結論した。病理組織学的検査の結果、雌の肝に巣状に軽度の小肉芽腫及び髄外造血、雄では心筋に軽度の炎症性細胞浸潤などが散見されたが、これらの変化は
F344
ラットの自然発生病変であることが知られており、群間にも差は認められなかったことから毒性学的意義の乏しい病変であると考えられた。これらのことを総合的に判断すると無毒性量は
5%であると考えられた。1)
(2)遺伝毒性試験
細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2urA/pKM101)
を用いた復帰突然変異試験は、500
m
g/plate まで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いた染色体異常試験は、試験可能な実験条件下(10%v/v)
において、染色体異常誘発性は認められなかった。3)
マウスを用いた小核試験は技術的投与可能量(420mg/kg)まで試験されたが、いずれの用量においても小核誘発性は認められなかった。4)
(引用文献)
1. 鰐渕英機:厚生労働科学研究補助金、大阪市立大学大学院医学研究科
2. 兒嶋昭徳:平成13
年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、名古屋市衛生研究所
3. 林真:食品添加物安全性再評価等の試験、国立衛生試験所変異遺伝部
4. 安心院祥三:厚生科学研究費補助金、財団法人化学物質評価研究機構