1.食品添加物名
ε-ポリリシン (e-Polylysine)
2.基原・製法・本質
放線菌 (Streptomyces
albulus)の培養液より、イオン交換樹脂を用いて吸着、分離して得られたものである。成分はε-ポリリシンである。
3.主な用途
保存料
4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
急性経口LD50はラット、マウスとも5,000mg/kg超と考えられる1),2)。
(2)反復投与/発がん性試験
SDラットを用いた混餌
(0.2、1、5%)投与による3ケ月間の反復投与試験において、5%投与群で摂餌量の減少、体重増加抑制、血糖値、血中アルブミン、血中トリグリセライド及び血中リン脂質の減少、肝臓及び甲状腺の臓器重量の減少が認められている。また、リンパ球の減少を伴う白血球数の減少が認められている。無毒性量は0.5g/kg/
day と考えられる3)。SD ラットを用いた混餌 (0.2、0.65、2%)投与による 104
週間の慢性毒性/発がん性併合試験において、2%投与群で投与初期に体重増加抑制が認められたが、その後正常に回復している。発がん性は認められていない。無毒性量は1g/kg/dayと考えられる4)。
(3)変異原性試験
細菌を用いた復帰変異試験 5),6)、細菌を用いた DNA
修復試験、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験6)、マウスを用いた小核試験7)の結果は、いずれも陰性と判断される。
(引用文献)
1.ポリリジン製剤のラットにおける急性経口毒性試験, 1989 年, 社内データ (未公表)
2.山田明男: 天然添加物安全性試験 ヒノキチオール、茶抽出物、ε-ポリリジンの急性毒性試験,
平成元年度厚生省委託試験, 大阪市立環境科学研究所
3.石井実ら: ポリリジンパウダーのラットを用いた経餌経口投与による3ヶ月間反復投与毒性試験, 基礎と臨床, 27, 6, 2013-2033,
1993
4.福留明ら: ポリリジンパウダーのラットにおける経餌経口投与による慢性毒性/がん原性併合試験, 基礎と臨床, 29, 6, 1416-1434, 1995
5.変異原性試験報告書第2008号,
1988年, 社内データ (未公表)
6.祖父尼俊雄ら: 食品添加物の変異原性試験成績 (その12), 変異原性試験, 3(4), 206-215, 1994
7.滝澤行雄: 平成3年度食品安全性再評価等の試験
(厚生省委託), 天然添加物の小核誘発性に関する研究, 秋田大学