英名： α-Glucosyltransferase CAS No. 9032-09-1

JECFA No. 該当なし

別名： 4-α-Glucanotransferase

6-α-Glucanotransferase

構造式： －

1. 基原・製法

   バレイショ（Solanum tuberosum L.）の塊茎又は放線菌（Streptomyces avermitilis、 Streptomyces cinnamoneus、Streptomyces griseus、Streptomyces thermoviolaceus 及び Streptomyces violaceoruber に限る）若しくは細菌（Agrobacterium radiobacter、 Arthrobacter 属、 Bacillus 属、 Erwinia 属、 Geobacillus pallidus 、 Geobacillus stearothermophilus 、 Gluconobacter oxydans 、 Leuconostoc mesenteroides 、 Paenibacillus alginolyticus、Pimelobacter 属、Protaminobacter 属、Pseudomonas 属、 Serratia 属、Sporosarcina globispora 及び Thermus 属に限る）の培養物から得られた、グルコシル基、又はグルカン鎖を転移する酵素である。食品（賦形、粉末化、希釈、安定化、保存又は力価調整の目的に限る）又は添加物（賦形、粉末化、希釈、安定化、保存、 pH 調整又は力価調整の目的に限る）を含むことがある。

   
   

2. 主な用途

   酵素

   
   

3. 安全性試験の概要

   1. 急性毒性試験

      ラット (Wistar) 経口 LD50 > 2,000 mg/kg 体重 1)

      
      

   2. 反復投与毒性試験

      Sprague-Dawley [Crl:CD(SD)]ラット（雌雄各群10匹）にB. stearothermophilus 由来の1,4-α-Dグリカン分岐酵素の遺伝子を発現させた枯草菌により産生された1,4-α-Dグリカン分岐酵素を 13週間強制経口投与したところ、NOAELは最高用量の 870 mg/kg体重/日と考えられた 2)。

      Sprague-Dawley [Crl:CD(SD)]ラット（雌雄各群 10 匹）に Aquifex aeolicus 由来の 1,4-

      α-D グリカン分岐酵素の遺伝子を発現させた枯草菌により産生された 1,4-α-D グリカン分岐酵素を 13 週間強制経口投与したところ、NOAEL は最高用量の 900 mg/kg 体重/日と考えられた 2)。

      ラット（系統不明、雌雄各群 10 匹）に分岐型グルコシルトランスフェラーゼを 13 週間強制経口投与したところ，被験物質に起因する毒性影響はみられず、NOAEL は最高用量の 769 mg TOS/kg 体重/日と考えられた 3)。

      
      

   3. 変異原性試験

      変異原性に関する情報なし。

      
      

   4. その他

      JECFAは、枯草菌により産生された1,4-α-Dグリカン分岐酵素について、ADIを特定しない（not specified）としている 4), 5)。

      食品安全委員会は、「Bacillus subtilis BR151(pUAQ2)株を利用して生産された 6-α-グルカノトランスフェラーゼ」については、ヒトの健康を損なうおそれはないと判断している 6) 。

      
      

   5. 海外評価書における扱い

      FDA には、加工助剤の目的で、枯草菌により産生された分岐型グルコシルトランスフェラーゼ、1,4-α-D グリカン分岐酵素が GRAS として申請されている 3), 7)。

      
      

4. 結論

   本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。

   
   

5. 参考資料

   1. Choi SS, Danielewska-NikielB, Ohdan K, Kojima I, Takata H, Kuriki T (2009a). Safety evaluation of highly-branched cyclic dextrin and a 1,4-α-glucan branching enzyme from Bacillus stearothermophilus. Regul Toxicol Pharmacol 55(3):281-290

      
      

   2. Choi SS, Danielewska-Nikiel B, Kojima I, Takata H (2009b). Safety evaluation of 1,4-α-glucan branching enzymes from Bacillus stearothermophilus and Aquifex aeolicus expressed in Bacillus subtilis. Food Chem Toxicol 47(8):2044-2051

      （参考資料1および2は、FDA: GRAS Notice GRN 361 に引用されている）

   3. FDA: GRAS Notice GRN 274, A branching glycosyltransferase produced by Bacillus subtilis expressing the Rhodothermus obamensis branching glycosyltransferase gene. December (2008)

      
      

   4. JECFA: Evaluation of certain food additives and contaminants (2009), WHO Technical Report Series 956

      
      

   5. JECFA: Safety evaluation of certain food additives and contaminants (2010), WHO Food Additives Series 62

      
      

   6. 食品安全委員会遺伝子組換え食品等専門調査会：最終報告書 BE-02 のラットにおける

      13 週間反復経口投与毒性試験(社内報告書) 、（案）遺伝子組換え食品等評価書、 BR151(pUAQ2)株を利用して生産された 6-α-グルカノトランスフェラーゼ、2011 年 11 月

   7. FDA: GRAS Notice GRN 406, Generally Recognized as Safe (GRAS) Exemption Claim for 1,4-α-D-Glucan Branching Enzyme for Use as a Processing Aid in Food Production, 2011