d-δ-トコフェロール
英名: d-δ-Tocopherol CAS No. 119-13-1
JECFA No. 該当なし 別名: δ-Vitamin E
構造式:
基原・製法
油糧種子から得られた植物性油脂又はミックストコフェロール(植物性油脂から得られたd-α-トコフェロール、d-β-トコフェロール、d-γ-トコフェロール及び d-δ -トコフェロールを主成分とするものをいう)から分離して得られた、d-δ-トコフェロールを主成分とするものである。食用油脂を含むことがある。
主な用途
酸化防止剤、強化剤
安全性試験の概要
経口投与の情報なし
反復投与毒性に関する情報なし
Ames 試験、染色体異常試験、in vivo 小核試験及び SCE 試験が実施されており、全て陰性と報告されている 1), 2)。
<国内報告>1)
Ames 試験:陰性;5,000 g /plate
染色体異常試験:陰性;5,000 g /mL
小核試験:陰性;2,000 mg/kg 体重
<海外報告>2)
Ames 試験:陰性; TA100、TA1535、TA98、TA97、TA102 5〜5,000 g/plate (代謝活性化および非代謝活性化)
染色体異常試験:陰性; ヒトリンパ球、75〜1,800 g/mL(代謝活性化および非代謝活性化)
骨髄小核試験:陰性;マウス、30 もしくは 1,000 mg/kg 体重/日で 50 週経口投与
SCE 試験:陰性;マウス、30 もしくは 1,000 mg/kg 体重/日で 50 週経口投与
毒性が懸念される報告はない。
JECFAでは、dl 体及びd 体のα-tocopherolのデータをもとに、グループADI として,0.15-2 mg/kg体重/日と設定している。Tocopherol concentrate, mixedとして d- alpha-, d-beta-, d-gamma-, d-delta-tocopherolsを含むとしている3) 。
欧州食品安全機関(EFSA)では、利用可能な毒性データが限られているため、ADIを設定することはできないが、ビタミンEは食品として広く摂取される必要な栄養素であり、現在の食品添加物としての用途及び使用濃度では、トコフェロール類(E 306~E 309, tocopherol-rich extract of natural origin (E 306), synthetic α-tocopherol (all-rac- α-tocopherol; dl-α-tocopherol; E 307) , synthetic γ-tocopherol (dl-γ-tocopherol; E 308) and synthetic δ-tocopherol)に安全性の懸念はないとしている2) 。
結論
本既存添加物は、日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。
参考資料
林、田中:食品衛生学雑誌 46, 5, 177-184 (2005)
EFSA ANS Panel (EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food), 2015. Scientific Opinion on the re-evaluation of tocopherol-rich extract (E 306), α-tocopherol (E 307), γ-tocopherol (E 308) and δ-tocopherol (E 309) as food additives. EFSA Journal 2015;13(9):4247, 118 pp. doi:10.2903/j.efsa.2015.4247
Available online: https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.2903/j.efsa.2015.4247
JECFA: 30th meeting (1986) WHO Food Additives Series 21, TRS 751, http://www.inchem.org/documents/jecfa/jecmono/v21je05.htm http://www.fao.org/fileadmin/user_upload/jecfa_additives/docs/Monograph1/additive
-469-m1.pdf